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「つってもどうすりゃいいのよ」
与えられた情報はなんとも、かなりあやふやだった。
『火の玉事件』を起こしている人物は、それ自体を儀式としているだろうということ。その神は10月前半の10時ごろ、真南にその神のいる星が輝く時でないと召喚してはならない、という決まりがあるということ。それだけしか知らない、と自信たっぷりに宣ったあの存在を思い出して頭の中で殴る。殴る想像くらいは許してほしい。
「儀式ねぇ……」
とりあえず、10月まではあと1週間近くある。一度火の玉事件のあった場所に足を運ぶのがいいかもしれない。ただ1つ気掛かりがあった。
「警察が現場検証してるよね」
その後を訪れたとして、何か得られる手懸かりがあるだろうか?
「あーもー、そんぐらい情報寄越せっての、自称カミサマめ!」
溜め息を文句に変えて吐き出して、今日出来ることは夜中だし無いだろう、とベッドに潜り込んだ。ああ、最低だ。明日から休みじゃないか。しかも祝日こみの三連休。要するにこの事件を追う時間はたっぷりあるということだ。
「せめて面倒な事になりませんように」
きっとこの願いは優しい神様に届く前にカミサマにブン取られて歪められてしまうんだろうな、と思いながら眠りにつく。
太陽の化身のような美しくも眩しくて、あまりにも眩しくて目が潰れてしまいそうなものに向かって跪き、許しと救済を祈っている男をただ見ている夢を見た。
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