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9月30日
神の加護か、浜宇都神社火災被害なし!?
火の手に包まれた浜宇都地区だが、唯一浜宇都神社のみ火災被害が見られず、250年近い歴史を持つ境内は守られていたことがわかった。しかし境内の参道に男性と思われる焼死体が発見されており、どのように火がついたのか疑問視されている。
「おかしいな」
10月前半に召喚する神という話だった。しかし結果から見るに儀式は9月28日に完成し、大火災が起きたものの10月に入る前に終息している。
「召喚してはならない」
儀式は行われた。神が召喚された。してはならない。つまり”できないわけではない”のだ。その結果、恐らく神の機嫌を損ねた、ということだろう。
「まずいぞこれは」
現代の犯人がもし、この50年前と同じ事をしているとしたら。10月になる前に召喚の儀式をして、また大火災を発生させる可能性は大いにあるということだ。10月まで時間があると思っていた。実際はない。9月中であれば召喚はもしかして、今日の夜の可能性だってあるのだ!
「なるべく早く犯人止めないと……!」
儀式の法則性を見つけ出し、犯人に接触を図る他ない。資料室は人が他に入ってこなくて貸し切り状態だ。好都合、と現代と当時の地図を集めて資料室のテーブルに広げた。
「まずは現代の目撃情報」
浅見川市 居宕呂3条4丁目
浅見川市 居宕呂5条2丁目
浅見川市 浜宇都1条3丁目
目撃情報の箇所を付箋に記し、地図の上に貼っていく。11箇所。ここでこのままだと地図上に書き込みができないと気付いて現在と過去の地図をそれぞれモノクロコピーする。付箋を貼ってみて、かなり等間隔に近い形で『火の玉事件』の現場が移動していることがわかる。大体1Kmの範囲だ。現代の事件で最後に起こったのは浜宇都4条3丁目。50年前焼けてしまって新校舎になった浜宇都小学校の近辺だ。
「次に50年前」
浅見川市 浜宇都1条2丁目
浅見川市 浜宇都2条3丁目
浅見川市 浜宇都3条4丁目
付箋を貼ってみると、等間隔というところは現代と通じるところがある。火の玉が目撃されたとなっている回数は12。最後に起こったのは浜宇都6条8丁目。
「浜宇都神社の近くだ……それこそ、等間隔の中に入る」
次に目撃情報の順に矢印を引いていく。どちらもだんだんと浜宇都地区の奥へ進んでいった。浜宇都神社に近づいていっている。
「やっぱり浜宇都神社は何かしら関係がありそう」
まず50年前浜宇都神社だけが燃えなかった事実がある。そして、唯一燃えた痕跡が男性の焼死体とあれば。
「その男性を50年前の犯人と仮定すれば話はしっくりくるかな」
その男が早い時期に召喚をしてしまったせいで、怒った神が浜宇都地区と男を焼き払った。神社を燃やさなかったことは、召喚に必要な舞台でありその神の信仰の場であれば、燃やしてしまう利点はないから、ともとれなくもない。
もっともこれは人間から見た憶測であり、真実はもっと違うのかもしれないが。
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