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不思議な落し物
玄関の鍵を開けると、お出迎えに座っていたのは三毛猫チャオだった。裕菜の脚に甘え、頻りと身体を擦り付た。
「ただいまぁ~良いこちゃんにしてたのぉ」
声を掛けると、回れ右をして部屋の奥へ走って行った。何時ものツンデレだ。それと代わるように可愛い鳴き声を何度も短く上げながら、ラグドールのペペが部屋の奥から走って来た。
「ごめん、ごめんペペ。寄り道して……会いたかったよぉ──」
抱き上げ頬擦りしながら、裕菜は遮光カーテンを引いてしまおうと窓辺へ近寄り、
「──え?」
カーテンを掴んで何げなく見たベランダに、見覚えの無い物が転がっているのを見た。
それは片方のサンダルだった。
大きな男物の黒いサンダルだ。何でそんな物がベランダに落ちているのか訝しんだ裕菜だが、昼食時、見守りカメラを閉じる際、この窓を何かが過ぎるのを見たことを思い出した。
(これだったんだ──)
合点が行った裕菜は、上の階の人が落したのだろうと察し、夜も遅いので明日にでも届けてやれば良いかと、ベランダに出てサンダルを拾い上げると玄関に置いた。
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