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「今日はフレンチにしたけど良いかな?」
「うん、良いよ。」
デート代はもちろんいつも彼持ち。
私はいまだかつて1円だって払ったことがない。
彼、真柴遼は、私と同じ25歳。
真柴グループの御曹司らしいけど、詳しいことはよくわからない。
そもそも、御曹司って何なのよ?
ただ、お金持ちだってことはわかってる。
彼の家はとてつもなくデカい。
彼の庭にある犬小屋と私の育ったアパートが同じくらいの広さだった。
いや、下手すると、犬小屋の方が広いか…
あれを見た時は本当にガッカリしたよ。
彼と出会ったのは、おそらく小学生の頃。
近所の子はみんな同じ近くの小学校に通ってたけど、彼だけは違う小学校に通ってた。
それも、真っ黒で大きな車で。
なんでも、エスカレーター式の私立の小学校に通ってるという話だった。
そう、彼は近所でもけっこう浮いた存在だったんだ。
友達とかくれんぼをしていた時に、彼に話しかけられた。
何の話だったかは覚えてないけど、話してたからみつかってしまった。
あんたのせいでみつかった!と私が怒ったら、彼は謝って、家と名前を教えて欲しいと言われた。
次の日、我が家に、高そうなケーキが届けられた。
フルーツがてんこ盛りで、今まで見た事も無かったようなキラキラのケーキで、一口頬張るとほっぺたが落ちそうなくらい、美味しかった。
あれは、衝撃的だったなぁ。
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