35人が本棚に入れています
本棚に追加
「友達になってくれる?」
次に会った時、唐突にそう訊ねられた。
あんな美味しいケーキをもらったんだ、嫌だなんて言えない。
「……別に良いけど。」
「わぁ、嬉しいよ、ありがとう!」
「わっ!」
いきなり抱きしめられてびっくりした。
テレビでは見たことがあるけど、初めてされたことだから。
もしかしたら、お金持ちの習慣なのかもしれない。
そう思い、私は必死でなんともない振りをした。
そして、友達としての関係が始まった。
それまでと変わったのは、私の誕生日にすごいプレゼントが来るようになったのと、お互いの家を行き来するようになったことくらいだ。
今まで着たこともないような滑らかな肌触りの服や、キラキラのペンダント…
きっとすごく高いもんなんだろうって、お母さんは心配してたけど、遼はお小遣いで買ったんだから心配ないって言った。
私もお返しは自分のお小遣いで買った。
良いにおいのする消しゴムや、シャーペン、キャラクターの靴下等々。
たいていは百均で買った。
当時はそれで良いと思ってたんだ。
今思うと、恥ずかしいやら申し訳ないやらだけど、当時は気付かなかったんだから、仕方がない。
最初のコメントを投稿しよう!