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「あぁ、今日は良い日だ。
あ、引っ越しはいつにする?」
「その前に、遼のご両親に会わないと。」
「そう?じゃあ、そうしようか。」
夜は都会のレストランに行って、三人で夕飯を食べた。
お母さんも珍しくワインなんか飲んで、上機嫌だった。
「ねぇ、遼...私は手切れ金をもらって姿を消したよね。
それなのに、私のこと嫌いにならなかった?
私がお金に目が眩んだと思わなかったの?」
遼は、微笑み、首を振った。
「全然思わなかったよ。
だって、あの時...最後に二人で飲みに行った時...
雅美は泣きながら言ってたじゃない。
『私はどんなことがあっても、たとえ別れてもずっと遼のことが好き』って。」
「え?そ、そんなこと言ったっけ?」
あの時はやけになって飲みすぎたから、何も覚えてない。
ただ、もう悲しくて悲しくて、それだけだったから。
「雅美は絶対嘘は吐かない子だからね。
だから、疑うことなんてなかった。
それに、あの言葉があったから、僕も頑張れたんだよ。」
「遼......」
なんだか胸がいっぱいになってしまった。
私のことをそこまで信じててくれたなんて...
しかも、酔って話したことなのに。
30点の私には勿体ないような人だけど、ここまで愛してくれるなら、私もこれからは全力で遼のことを愛そう。
もう後ろ向きなことは考えないよ。
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