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「そうだな、あれこれ考えてるヒマはない。ここはジャックの言う通りにしよう」
俺の呼びかけに、マリオもキャシーも素直に同意した。残された時間は限られている。迅速に、そして的確に行動しなければ……!
俺は本棚の下から、ジャックは上の方から、棚の上に並んだ本を順に開いては、「ハズレ」だった本を床に投げ捨てて行った。マリオはほとんど床に寝そべるようにして、下部の戸棚に頭を突っ込み、細部を念入りに調べている。キャシーも言われた通りに暖炉の方へ行き、ぱっと見ではわからないような隅々を調べ始めた。
「ジョニーも最初から、この暖炉が『嘘っぽい』って言ってたもんね。明らかに火をくべて使うものじゃなく、イミテーションぽく見えたし。そうすると……」
キャシーはふと思いついたように、暖炉の下に置かれていた「ニセの薪」を手に取った。
「この中に、解毒剤があるのかも?」
薪は束になって金網の上に置かれていて、その金網ごと薪をどかすと「喫煙室への隠し扉」が開くスイッチがあったのだが。その薪のひとつひとつが、筒のように中が空洞になっているとすれば、確かに「中に何かがある」可能性は高い。
キャシーは1本ずつ薪を持っては上下に振ってみて、「中の異物」があるかどうか確認していた。
「マリオ君、戸棚を調べ終わったら、キャシーを手伝ってくれ。棚の本を見終わったら、後で俺たちが戸棚をもう一度確認する。暖炉の薪をひとつずつ調べるなら、1人より2人の方がいい」
調べるなら、1人より2人の方が確実だ。ジャックも俺と同じ考えだったようだ。マリオは戸棚から頭を出し、「わかりました!」と暖炉の方へ駆け出した。カウントダウンの数字は、残り39分。解毒剤を見つけても、もしそれが錠剤とかだったら、体がシビれて呼吸困難になった後では、上手く飲み込めなくなるかも。それでは意味がない。あと10分で、見つけなくては……!
キャシーとマリオが次々に薪を振り、俺とジャックが本棚の本を、開いては捨て開いては捨て。カウントダウンが残り32分になったところで、キャシーが「あっ!」と声を上げた。
「なんか他のより軽いと思ったら、中でカラカラ言ってる! 絶対これよ!!」
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