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 キャシーは持っていた薪を掲げて「見つけたーー!」と興奮していたが、「あれ? でもこれ、開け方がわかんない。どうしよう??」と、すぐに泣き顔になってしまった。 「薪に似せて木目の模様が付けてあるから、見にくくなってるんですよ。少し回すようにしながら、目を近づけてじっくり見て下さい。もし開け口がなかったら、叩き割ってでも開けましょう」  マリオの助言を聞いて、キャシーは「うん、わかった」と言いながら、卒業証書の丸筒を回すように薪を両手で持ち、両目を大きく見開いている。俺はその様子を見守りながら、開かないようなら「叩き壊す」助太刀に行こうかと思っていたが、まだ本を調べていたジャックもそこで、「これだ!」と声を上げた。 「ビニールにくるんだ錠剤がある。恐らくこれが解毒剤だ。キャシーの方はどうだ? 薪は開いたか?」  ジャックが錠剤を見つけた本は、4段ある棚の上から3段目、その真ん中よりやや左寄りに置いてあった。アトランダムに調べ始めたら、まず「一番最初」には手を付けにくそうな位置だ。奴らも色々と考えてやがる。しかし、暖炉の薪にも解毒剤が入ってるのか。もしかして、それは何かの「トラップ」じゃないのか……?  俺がキャシーに、「気を付けて……」と言おうかと思った瞬間、キャシーの持っていた薪の上部が「パカリ」と外れた。 「わあ、開いた開いた! 見て見て、こっちにも錠剤が入ってる!!」  良かった、変なトラップではなかったのか……と、俺はほっとしたが。しかしそれはやはり、巧妙に仕掛けられた「死のトラップ」だった。
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