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「ひとつ、ふたつ……錠剤は6粒入ってるわ。1人ひとつずつ飲めばいいのかしら?」  なるほど、もしかしたら本に隠されていたものと、暖炉に隠されていたものとの両方を飲んで、初めて解毒効果が表れる仕掛けなのかも。どちらか片方を見つけて喜んでいたら、時間切れになるところだった。 「こっちにも同じく6粒入ってるな。いや、待てよ。本の中に、『注意書き』みたいなのも入ってる……」  ジャックは本の中に作られた、錠剤が入っていた隙間の下から、小さく折り畳んだ紙片を取り出した。そして、その紙片を開いたジャックの顔が「さっ」と青ざめたのが、傍目にもはっきりとわかった。 「みんな、そろそろ体がしびれてくる時間が近いが、ここはしっかりと聞いてくれ。錠剤と一緒に入ってたこの紙は、やっぱり『取扱説明書』だった。紙片には、こう書いてある。 『【注! この錠剤をすぐに飲まないように】  錠剤は2種類あります。本の中にある赤い色の錠剤と、もう一種類、部屋のどこかに青い色の錠剤が隠されています。そのどちらかが解毒剤で、もう一方は、即死性のある毒薬です。毒の方は、飲んだ後に解毒剤を飲んでも効果はありません。どちらも、一粒飲めば助かるように、参加した人数分を入れてあります。赤と青、どちらを飲めば助かるのか。これまでの経験とあなた方の知恵を生かして、慎重に考えた上で、決めて下さい』  ……以上だ。キャシー、薪に入ってた錠剤は、青い色か?」  ジャックの言葉を聞いて茫然としながら、キャシーは呼びかけられて「はっ」と気付いたように、取り出した錠剤を掲げ。「うん、ほら、青色の錠剤よ。あ、こっちも筒の中に、紙が入ってた……」と、薪の開け口を下に向けた。薪の中から折りたたんだ紙片がポロリと落ち、そこに書かれていた内容は、ジャックが読みあげたものと同じだった。赤と青、どちらかが解毒剤で、どちらかが毒薬。これまでの経験と知恵を生かしてって、どう考えればいいんだ。しかも、ゆっくり考えている時間はない……! 「これまでの経験を生かして……なるほど、な。そして、俺に関わるゲームにするという条件。そういうことか……」  ここでジャックが、「ポツリ」と話し始めた。
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