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「もうずいぶん前になるが、俺がまだ刑事だった頃に、惚れた女がいてね。でもその女性は、俺の一番尊敬する先輩刑事と恋に落ち、結婚することになった。俺はまさにお似合いのカップルだと、彼女と先輩を祝福したがね……それから数年後、彼女の様子がおかしくなり始めた。そしてそれがエスカレートし、このままいけば、先輩の命を奪いかねないほどになった時。俺は、先輩か彼女か、どちらかを助ける判断を強いられることになり……結果として、俺は先輩を選び。その代償として、彼女の命は失われることになった……」  沈痛な表情でジャックが語った「告白」に、俺たちはじっと聞きいっていた。しかし、カウントダウンは遂に30分を切った。そろそろ、体がしびれて来てもおかしくない頃だ……! 「赤か青か、どちらかを選べば助かり、もう片方は死に直結する。これはやはり、俺のいま言った過去をモチーフにしたゲームなのだろう。となれば、俺の経験を元に考えるしかない。普通に考えれば、赤が危険で青がセーフのような印象を受けるが、その感覚に頼るのは危ないな。考え得る限り、思い出せる限りのヒントを言ってみるから、皆も考えてくれ。もう、あれこれ迷ってる時間はない」  確かに、迷っている時間はない。ジャックのその推理が正しいかどうかを考えている余裕はないのだ。ジャックの言うことをよく聞いて、そこから「赤か青か」を決めなくてはならない。 「まず死んだ彼女は、赤い色の服が好きで、好んで着ていたのをよく覚えている。青い色が好きだという話は聞いたことがないし、そういう記憶もない。とすると、死んだ彼女の好きな色である赤は、『危ない』という可能性が高いかも……。  そうだ、さっきのLEVEL3でも、最初に試した『赤いボール』がゴールにたどり着けず、行き止まりになった。サマンサはそれを見て、死んだ子供を思い出した。やはり赤い色は、『死を意味する』ということか……?」  自分の記憶を辿りながら、ジャック自身も判断を決めかねているように思えた。だからこそ、俺たち3人の「アドバイス」を聞くために、自分の悲痛な過去を告白したのだ。1人であれこれ考えるよりも、4人で考えた方が、正解にたどり着く確率は高いはずだと。
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