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「確かにそう考えると、『赤が毒』っていう風に思えますね。でもそれだと、最初にジャックさんが言った『色の印象通り』の結果ですよね? あえて裏を書いてそうしているのか、それともその判断が間違いなのか……他に何か、思い出すことはありませんか?」  マリオがそう聞いたのを受けて、ジャックは「うーむ」と考え込んだ。 「先輩が、何かの色を好きだったっていう記憶はないな……俺と同じで、グレーとかブラウンとか、ダーク系の地味な色の服を着ることが多かったし。それはもちろん、刑事っていう仕事柄もあったがな。俺の知らない先輩の趣味があったのかもしれないが、俺の体験を元にしている以上、そんな未知の情報を元にすることはあるまい。ならばやはり、赤が危険のサインか。それではマリオ君の言うように、当たり前過ぎるか……?」  ジャックの中で、彼女と先輩の件に関する「色の記憶」は乏しいように思えた。では、何を根拠に判断すればいいのか。ジャックの過去だけでなく、俺たちに「共通の経験」となると、やはりここで行われたゲームだ。そしてこれまでのゲームで色を想起させるものと言えば、LEVEL3の「3色のボール」だ。ジャックの言った通り、最初に試した赤いボールはゴールまでたどり着けなかった。逆に青いボールはゴールへ到達し、ゲームクリアへと繋がった。そう考えれば、「青がセーフ」という可能性は高いんじゃないか……?  そこでジャックがキャシーに歩みより、「そっちの紙片も見せてくれないか。並べて読むと、新たなヒントがわかるかもしれない」と、キャシーの方へ右手を伸ばした。そのジャックの指先が、かすかにふるふると震えているのがわかった。ジャック自身もそのことに気付き、「はっ」となって自分の指先を見つめた。 「……しびれが始まったか。本当に、もうぐずぐずしてられないな。手足が動くうち、呼吸が出来ているうちに、錠剤を飲まないと……!」  カウントダウンの数字は、残り26分になろうとしていた。
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