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「LEVEL2での、ジョニーの過去。そしてLEVEL3での、サマンサの過去。いずれも、『世間には明かされていない、秘められた過去』をモチーフにしていた。ゲームを通して、世間に知られているものとは違う事実を本人に突きつけることで、精神的ダメージを与えようとした。ならば、俺の過去を元にしたこの『解毒剤探しゲーム』も同様だと考えられる。  俺は惚れた女より先輩を助けることを選択したのだが、このゲームを作った『奴ら』は、その逆――つまり、先輩より女を助ける方が、『正しい行い』だと考えたのではないか。彼女が好んだ『赤い色』が、『生きる』ことに繋がるんだと。それを俺が後悔しているか、もしくは他人に隠し通していて、それを突きつけることで俺に死を迫る予定だったんだろう。だが俺は、彼女を助けられなかったことは生涯背負うべき十字架だと思っているが、あの時の選択が間違っていたとはこれっぽっちも考えていない。そこは奴らも少しリサーチ不足だったかもな。  そして、LEVEL3での3色のボール。これがまた判断を誤らせる原因になった。あの時は、赤いボールが台の一番端に置かれてはいたが、決してボールに番号が書いてあったわけじゃない。3つの真ん中にあった緑のボールを最初に選ぶ確率は相当低いと思われるが、台から一番離れた位置にあった青いボールを選ぶ可能性もあったはずだ。マイケル君が最初に手にしたのが青いボールだったなら、恐らくそれが管の途中で行き止まりになっていただろう。  つまり3色のボールは、解毒剤ゲームへのヒントではなく、俺たちを戸惑わせるためのワナに過ぎなかったんだ。赤と青といえば、やっぱりあのボールを思い出すからな。そこが、俺の『引っかかっていた点』だった。赤いボールが行き止まりになり、青いボールがゴールにたどり着いた。それはあくまで、ゲームの『結果』でしかない。その逆になる可能性もあったことに、もう少し早く気付いていれば……それでも覚悟を決めていたマリオを、止めることは難しかったかもしれないがな。正解に導くチャンスはあったかもしれない」
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