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「ジョニーやサマンサが『被害者』となった時に、君が怒りを露わにしていたのは、恐らく自分が集めた情報が、奴らに『悪用された』と思ったのではないか。ハッカーとして探り当てた情報を公表したり、世間に晒すようなことは、やったこともあるかもしれないが。その情報を当事者に突きつけて自殺に追い込むなどという『使い方』が、君は許せなかったんじゃないかな? ようするに、君は撮影中に実際に死人が出たことに『怯える』よりも、『怒る』ことが先に来ていた。その理由は……? と考えた時に、参加者の情報を収集する役目の者のことを思い出したんだ。君がその収集者ならば、辻褄が合うとね。
そしてそれは同時に、君がここで行われていることを『知らなかった』ということでもある。掘り起こした個人情報で金儲けをするのは感心しないし、どんな理由で撮影に参加したかも想像するしかないが。たぶん俺と同じく、何か胡散臭いものを感じて、撮影のことを調べてみようとしたんじゃないか? それで奴らは俺と同様に、君も『口封じ』をするつもりだったんだと思う」
そう、ジャックの言った通り。俺が何かを探っているらしいことに、奴らが気付いたのに対し。俺の方はまさか、撮影中に役者たちを監禁し、強制的にゲームをやらせて自殺に追い込むような、そんな血なまぐさいことをやってるとは夢にも思わなかった。それで、「何かお疑いのようでしたら、役者であるあなた自身も、撮影に参加してみませんか?」という、奴らの誘い文句に乗ってしまった。
ジャックやキャシーのことは、撮影前に「俺が調査をしなかった参加者」として、奴らから説明を受けていた。それから渡された脚本を読んで、キャシーやジャックという(この時点では、それぞれ「男4」「女1」という番号の呼び名しかなかったが)「俺の知らない2名の男女」が参加することを知った。
なぜそんな、俺の知らない参加者がいるのかと聞いてみると、その2人は「俺の前任者」が過去を調べた参加者ということだった。その前任者が辞めたので、俺に依頼をしてきたって話だったが……いま思えば、前任者も何か怪しい気配を悟り、それを探ろうとして「消された」のかもしれないな……。
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