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そして現場に来てからは、初めて生でご対面するジョニー・サマンサ・マリオの3人を、俺が調べた情報と照らし合わせ、色々と「推察」してみたのだ。更にキャシーやジャックについても、他の3人の参加者のように、きっと「人に語れない過去」を抱えているに違いない、どんな人物なのかと想像を巡らせていたんだ……。
「情報を売り渡したという点では、君は奴らの共犯者とも言える。だが、あのままゲームを進めて行けば、君の命も危なかったことは間違いない。そういう意味で、君もあの撮影の『被害者』だと言っていいだろう。
だから俺は、奴らと同様に。君がもう、むやみに個人の過去を掘り起こし、それを金儲けの手段として使うようなことをしないと言うのなら、君の過ちも問うことはしない。キャシーはそれを見越したのかどうか、君に関しては言葉を濁していたからな。余計なことを言うなという意味もあるかもしれんが、君が情報提供者であることを、最後まで明かさなかった。まあ君の方も、撮影前にコンタクトを取っていたのは他の奴らで、キャシーが仲間だとは気付かなかったろうしな。
それは別として、これからは君も改心して、まっとうな道を歩む……というのも難しいかもしれないが、ほどほどにしておいた方が身のためだっってことを、君も身に染みたろうからな」
ジャックのその言葉を聞いて、正直俺はほっとしていた。ここまで「見事な推理」をされてしまっては、弁解のしようがない。果たしてジャックは、キャシーたちのように俺のことも「見逃す」のだろうか。それとも……? と考えていたのだが。ハッカーとしての仕事を制限するという「条件付き」で、どうやら事なきを得たようだった。
「ああ、わかったよ。しばらくは大人しくする。そしてしばらく経ってからも、こんなヤバい橋は渡らないよう気を付けるよ。たぶんどこかで、奴らのことを甘く見てたんだろうな。情報操作や探索に関しては、俺の方が一枚上手だと考えてた。それを逆手に取られて、まんまと撮影に参加させられることになり……ジャックとキャシーについては想像するしかなかったが、残る3人については俺自身が『過去を調べた人物』ということもあり、俺は他の参加者よりも優位な立場、俺が『主役』なんだと、自己満足に浸っていた。あんたが言った通り、とんだ甘ちゃんだったな」
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