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「俺はジョニーの過去もサマンサの過去も、『自分で調べて』知っていたのに。ゲームをクリアすることに夢中になり、ジョニーに過去を語るようけしかけ、サマンサの様子がおかしいことにも気付いていながら、ゲームを進めることを優先した。まんまと奴らの思惑にハマっちまったんだ。自分の頭の良さに得意げになり、有頂天になる悪いクセだ。それも俺の甘さゆえで、奴らはそれも承知の上だったのかもしれない。  いま思えば、奴らは俺と交渉する段階ですでに、そんな俺の甘さも見抜いていた可能性もあるな。上手く誘い込めば、思い通りに動かせるはずだと。キャシーみたいな首謀者クラスが、いつも撮影に参加してたのかどうかはわからないが、今回は裏事情を調べていた俺やジャックさんを巻き込む目的もあったので、参加者内に『刺客』を仕込むことにしたのかもな……」  俺はジャックに倣って、自分で考えられる限りの「推察」を語った。キャシーの、自分の正体がバレた後の、あの高慢ちきな態度からすると。いつもは自殺に追い込んだ参加者を「高みの見物」していた可能性も高いからな。しかし今回は、これまでパトロンにした親父どもを騙して来たその手管を用いて、要注意人物である俺とジャックを、自ら追い込むつもりだった。そう考えるのが妥当な線かもな……。 「LEVEL1の謎を見事に解いた読みといい、LEVEL3でゲームの進行を指示した手腕といい。君が相当にキレる男だというのは、俺も十分認識している。俺の過去の『甘いリサーチ』も、君がやったことじゃなかったわけだしな。ただやはり、プログラムを操作することで目的にたどり着けるハッキングと違い、人の命を軽く扱うような輩と『生身の対決』をするには、まだちょっと経験不足かな。もう少し修羅場をくぐれば、君も相当なタマに成長出来ると思うが、危ない橋は渡らないに越したことはない。せいぜい、命を大切にしろよ」
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