プロローグ

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 4番の隣にいる5番の女は、30代中盤から後半といった年齢に見え、その決して派手ではない服装から、恐らく主婦なのではないかと思われた。3番と4番のように、2番の女とは「対照的な存在」ということか。平々凡々な主婦の生活に退屈して、ちょっとした刺激を求めてこのゲームに参加してみた……ってことだろうな。何か大きな決断をしなくてはならない時に、躊躇をするタイプかも。他のメンバーの「足を引っ張る」ことだけは避けて欲しいところだがな……。  そして5番の隣、俺のすぐ左隣にいる、「6番」のプレートを付けた男。こいつが、一番の「謎」だった。年齢は40代から50代くらいだろう、しかし会社員のようには見えず、さりとて技術職という感じもしない。顔に刻まれた皺の数は、それだけこの男の人生経験が深いことを物語っているようにも見えた。大学教授や物書きといった知性的な職業も考えられるが、もしかしたら刑事や探偵、消防士や救命士という「普通ではない職業」の可能性もあるな……。俺は3番とは違った意味で、この男が「ゲームを解くキーマン」になるのではないかと予想していた。  ネームプレートの番号は、リビングのソファーに適当に座った順に配られたもので、俺が「1番」であることも、大きな意味はないように思えた。それでも恐らく、俺がこのゲームの「中心人物」であることは間違いない。そのために俺は、「ここに呼ばれた」のだろうからな……。  日もどっぷりと落ち、辺りがすっかり暗くなった、夜の20時半ごろ。  俺たち6人は1人ずつ、このリビングに集合した。  集合場所に指定されたリビングがあるのは、山の中腹辺りにある深い森の中に建つ、一軒の山荘の中だった。俺たちは、それぞれにメールで送られてきた地図を頼りに、細く暗い山道を登りきり、この山荘にたどり着いた。山荘の玄関は鍵が開いていて、中に入るのに苦労はしなかった。そして集合場所と思われる部屋のドアを開けると、俺より前に来ていたらしい若い女が1人、中年の男が1人。リビングの中央にあるテーブルを囲むように置かれた、ソファーの上に座っていた。
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