プロローグ

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『これから行われるゲームに勝ち残った者、つまりゲームの勝者には、前もってお知らせしていた通り、高額の賞金をご用意してあります。皆さんどうぞ、賞金を目指して頑張って下さい。まずは皆さん、テーブルの上にある箱を開けて下さい。中に番号の付いたネームプレートが入っています。これからは私も、そして皆さんも、お互いにその番号で呼び合うこととします』  俺たちは互いに目を見合わせ、誰がその「箱」を開けるのかと、互いの様子を伺っていたが。最初にいた若い女が、「とりあえず開けましょう。まさかビックリ箱ってことはないでしょうから」と、両手を伸ばしてあっけなく、箱の蓋を開けた。  箱の中には「案内人」の言った通り、番号の書かれたプレートが6つ入っていた。これもまた、誰が先にプレートを手に取るかを伺っていたのだが、ここも若い女が「さっさとやっちゃいましょう、はいこれ」と、隣にいた俺にプレートを手渡した。随分警戒心がないというか、あっけらかんとした女だな……と思いつつ、俺は素直にプレートを受け取り、他の参加者に見えるよう、着ていたシャツの左胸の辺りに付けた。  続いて若い女が、俺と同じようにプレートを胸に付け。その後はソファーに座っている順番で、それぞれプレートを手に取った。 『さて、準備は整いましたでしょうか? それでは早速、ゲームを開始したいと思います。あなた方が挑戦する、ゲームの最終目的は……この山荘から、脱出することです』  それを聞いて、入口の一番近くに座っていたヤンキー風の若い男が、「えっ?!」と声をあげ、立ち上がってドアの方に歩み寄った。そいつは力任せにドアノブをガチャガチャと回してみたが、ドアはビクともしなかった。 「マジかよ、俺たちはここに閉じこめられたってことか? 聞いてないぜ、そんなこと!!」  ヤンキー男は怒りに満ちた声を上げたが、「案内人」は表情を崩さず……いや、能面のマスクをしているのだから、表情が読み取れるはずもなかったのだが。モニターの画面に向かって、「ずいっ」と身を乗り出して来た。黒い礼服を着込んだ男の姿が画面いっぱいのアップになり、なかなかの威圧感を醸し出していた。
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