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プロローグ
「それでは、ゲームを始めましょう」
その、至極ありきたりな開会宣言で、俺たちの「ゲーム」は幕を開けた。
四方を白い壁に囲まれた、18畳から20畳くらいの、リビングのような部屋に。俺を含めて、6名の男女が集められていた。俺たちは性別だけでなく年齢もバラバラで、お互いにお互いのことを何も知らない、全くの「他人同士」だった。その6名が、ただ「面白いゲームをする」という話だけを聞いて、ここに呼ばれた。これもまた、今どき珍しくもないシチュエーションだ。
俺のすぐ右横にいる若い女は、20代前半か中盤くらいだろうか、胸元に「2番」というネームプレートを付けている。ちなみに俺のプレートは「1番」だ。元気よくハキハキと喋り、物おじしなさそうな雰囲気は、このゲームを進めていく上での「ヒロイン役」なのかもしれない。「1番」の俺が主人公だとすれば、この先俺と恋愛関係に進む可能性もあるかな……。俺は「2番」の女の、ミニスカートから伸びた艶めかしい脚と、胸の谷間が覗くシャツを見ながら、「それも悪くないな」と考えていた。
2番の右隣にいる、「3番」のプレートを付けた男は、恐らく20代後半か30代前半なのだろうが、少し老けて見えているかもしれない。メガネをして髪をペタリとなでつけた神経質そうなタイプで、社交性はないように思えるが、実は根っからのゲームオタクで、ゲームの謎を解くための重要人物という可能性もある。こいつとは、いい関係を築いておいた方が良さそうだな……。
その3番の隣にいる「4番」は、3番とは正反対の、体格のいいヤンキーあがりといった風情の男だ。部屋に入って来た時からずっとニヤニヤしていて、2番の女にチラチラと目線を送っている。きっとゲーム開始の合図が終ったら、3番を押しのけて2番の隣に行くつもりだろう。ゲームを解くための頭脳としてはいかにも頼りないキャラだが、その分思い切りの良さなどは参加者の中で一番かもしれない。しかし、俺や3番の主張に反対し、「揉め事を起こす」という危険もあるかもしれないな。一度キレたら手に負えなそうだし、この中では要注意人物といったところだろう。
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