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この世に光はなかった。
稲光さえやさしく見えている
ここは雲に上、
骸が集う天空の町、つまりアレだ
死んだらいく場所だと思うが
己が死んだ覚えはない、ただ鏡の前で自分の目の中の自分を不思議そうに覗いてみただけ
(どういことだ。なにがあったんだ?」
壮絶な世界だ。
周りの地平線を覆い尽くす骸の骨たちも、虚ろうつろ下を向きながら同じ方向を歩いている。よくみればオレだけ半透明、なぜなんだ。
声をかけてみようか...
「あのー...!」
周りの骨達はオレの声を聴いた瞬間
立ち止まりはじめ、一斉にこっちを見た。
目の前に骨の骸達がコッチを向くウェーブが
地平線まで動く。まるでオレを待ち望んでいたような反応に、声が出ない。
恐怖でおじけていた時に骸の一人が紳士のように跪いてこう言った。
「我が主よ、驚かせてすまない、我らは味方だから安心してほしい、この者たちは前世での恩あるものであります。どうかこれをみて目覚めてください。」
骸は豪勢な鏡を異空間らしきところから取り出して、オレに見せた。
「うあっ!」
鏡に吸い込まれたかと思うと目の前が真っ暗になり、目を凝らすと自分がいた。
鏡の前で歯を磨いている。
「.....。」
すごく奇妙な夢だった...。
もう眠い、
だがあんな明晰夢でどうしろと...。
眠りたくないが、仕方なく明日の高校の授業に向けてねるしかない。
このまま死ぬんじゃねーか?
オレもあんな風に骸になっていくんだな。
目が疼く....。
オレの好きなあの子もこうなるのか。
!
驚く事にオレが目を覚ますと
透視して妹の中身が見えた。
「おはよう。」
妹の声で葉月(妹の名前)だとわかる。
おびえながら父と母をみる。
それはまるで骸の骨達だった
つまりあの世界で見たのは生きている人間で、オレは透視を覚えてしまったのだった。
食事が用意してあるが見た事ない料理に見える。
どっちが父か母かわからない。
「お兄ちゃん葉月ガン見ーきっも。」
(おまえが誰かもわからなかったつーのてか葉月だったのか。人体模型そのものじゃねーか。)
「ごめん、もう学校行って来ます。」
母:「英治ご飯は?」
「いーや醜いし。」
母:「まあ!」
ちくしょう...どうしようもない。
この世に光を感じない...
他の残像で...。
ちらほら見える裸がウザい。ろくなもんじゃなかった。
「英治おはよう。」
男友達が声をかけたが反応できる余裕がない
(あの子もこうなのか?)
「どうした英治?」
(みんなこうなのか)
英治:「骨ばっかじゃねーか!。」
いつもの屋上でいつもの時間にあの子がいるはずだから、走って行った。
「唯!」
唯:「どうしたの英治君。」
唯は普通の人間の姿だった。
思わず抱きしめてしまう、
唯を驚かせてしまうにしても抱きしめたかった。
「バカだな英治君。」
「?」
「私だけが見えることに違和感がないようだね。私もなんだ...人間に見える人間があなただけなのは。」
唯もこっち側だった。
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