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そうだ、と思いつき、駅に向かって歩きながら電話を掛ける。呼び出し音はすぐに途切れ、『なぁに〜?』と声がした。
「夏帆ちゃん。今大丈夫?」
『ん〜。大丈夫だよ〜。今お風呂入ってるだけだし』
「えっ? お風呂入ってるの?」
『そうだよ〜。何? 夏帆様の裸を想像した?』
「し、しないって」
スピードを緩め雑踏を縫うように歩きながら慌てて返す。
正直、夏帆ちゃんのもちーちゃんのも、裸を見たことがないわけじゃない。全く異性と認識されていなかった小学生の頃に夏帆ちゃんの家でお泊まり会をして一緒にお風呂に入ったから。
二人の全裸を思い出しそうになり頭の中の映像を振り払いながら続ける。
「ちーちゃんと次の約束、できたよ!」
『おぉ。よかったじゃん。いつ?』
「一週間後。ドライブに誘ったらOKもらえた」
『へー。ドライブか。そういや千春の元カレに車持ちいなかったなぁ……』
元カレ、の言葉に動揺し思わず立ち止まる。突然立ち止まったからか後ろからぶつかられるが、自分より遥かに小さい男の人は僕を睨みつけて行ってしまった。
「……やっぱり……。彼氏くらいいたよね……」
『当たり前じゃない。なんでいないと思った。千春、合コンキラーって呼ばれてんのに』
あれだけ可愛いんだしスタイルもいいし性格もいいんだから当たり前と言えば当たり前だ。
僕だって合コンでちーちゃんに会ってたら絶対アタックしてた。でも、それはちーちゃんに似た誰かじゃなくて、ちーちゃん本人に限るけど。
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