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プロローグ①
確かにあの日・・・
俺は、競馬は素晴らしいと一瞬でも思った自分がいた。
もう、3ヶ月以上前である。
それから、一度足りとも競馬が面白いとは思えなくなった。競馬場に直接馬を観にいっても立川の場外馬券売場に行っても。
心から楽しめる事が出来なかった。
好きな人には好きなんだろう。俺は複合的な要素が絡み合って、競馬に関わることを避けて行きたくなくなったけどーーーーー。
テンチョウに金曜日の夕刻になると競馬新聞を買いに行かされるのが嫌だったのかも知れないし。
何万という、競馬場に集まる客と競馬場のあの興奮と熱気に絆されていたのかも知れないし。
詳しいことは分からない。3ヶ月前のあの一瞬だけ、好きになったのは確かだった。
地方競馬場にも社員旅行で土日に泊りがけで行ったが何だかな?っていう感じだった。
競馬は酷く、男臭い野蛮なゲームだと脳が認識し、恐怖を覚えたのかも知れなかった。
社員旅行中、女性事務員が夜中に男性社員二人と性行為に及んだらしいが
奴等の接合中、大きな声で喘いでばかりいるから、それが思い出され、競馬ではマイナスイメージしか持てなくなり、面倒臭くなったのかも知れなかった。
競馬嫌いな俺が、ある日曜日、まったりしているとLINEのベルが一回、鳴った後、電話の着信が唸りをあげた。
同じファイナンス会社に勤める清野 蓮が東京競馬場前駅の改札でキャバ嬢二人と待っているから来いとのことだった。俺は丁重に断りを入れたが午後3時から2時間ばかり時間をくれと言うものだから。
仕方なく、俺は東京都立川市の自宅からゆっくりと府中にある競馬場へと向かった。
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