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3.
「心愛どこまで、着いて来るつもりや?」
「タケルさんの関西弁、良いです!良いです!ホント好き!」
心愛は後ろから俺を抱きしめ離さないでいる。
「暑苦しいんじゃ!自分!」
「えへへ・・・関西の人に怒られちゃった。失敗したなぁ・・・」
心愛は産まれてから、こんなに恥ずかしく嬉しい瞬間はないと感じていた。東京都、産まれ、三鷹育ちの彼女には彼の言葉の一つ一つが新鮮だった。
俺も妹のようにくっついて離れない心愛を愛おしく感じ始めていた。
「アカン、このままはアカン。お姉チャンのペースやんか。不味いぞ不味いぞ。」俺は頭をフル回転させた。
「なぁ・・・心愛・・・」
「はい!旦那様!」
「誰が、旦那やねん!」
「私、押しかけ女房でございます!」
「いつから、女房やねん・・・」
「3秒前からであります!」
「激近かやん!何でやねん!」
「あはは!また、怒られたーーー。幸せーーーー。」
「もうええ!オマエ!どうしたいんや!」
「とりあえず、タケルさんの家がどこか確かめたいな・・・。あ!今、オマエって!嬉しい!・・・アンタ?なんちゃって!」
彼女が激しく照れて俯いた。
「それを世の中ではストーカー言うんやど!」
俺は時計を観た。8時少し過ぎ、睡眠薬を飲むなら、11時がMaxだ。その前に、風呂に入って、日蓮宗のお経を唱えなくてはならない。関西だけに。←凄い偏見(笑)
俺はここは彼女の言いなりになるしかないと思った。
「分かった、ええで、紹介したる。そんな、豪勢なもんやなで、賃貸のボロ、アポートや。」
「ほな!行ってみよう!」
「ナゼ?オマエまで関西弁?」
「また、オマエって言ってくれたーーーー。嬉しいーーーーー。」
「何でやねん!ドMオンナ!」
「嬉しぃーーーーー。私なんかに突っ込んでくれたぁ・・・私のナカにも突っ込んで!なんちゃって!」
「もう、君とはやってられへんわ!」
「まいど!」
俺は心愛を放置して歩き始めた。JRの改札をタッチすると、下り方面の電車に乗っていく。吸い付くように離れない心愛。
「下り電車なんですね・・・」
俺は彼女の言葉を無視した。
「住んでる場所は国分寺かな?国立かな?立川かな?あーーー。ドキドキするーーー。」
「確認するで!」
「オマエ、未成年ちゃうんやな?未成年やったら色々、面倒や!ホンマ。」
「アンタ・・・安心しぃ・・・処女やけど、成年や・・・生娘や。」
「そうか、間違いないんやな!って、処女かい!生娘って、若者言葉ちゃうやろ!」
「あーーーー。嬉しーーーー。また、怒られたーーーーー。これが、ノリツッコミかぁ・・・感激!旦那はんの次の言葉が欲しい。とろけそうや・・・」
快速高尾行きが吉祥寺駅に滑り込んで来た。俺はか細い、彼女の腰に右手を滑らせ身体全体を、自分の方へ引き寄せた。心愛は顔を真っ赤にしてなすがままになっていた。
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