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5,
「キーンコーン・カーンコーン・キーンコーン・カーン・コーン!」
「よーし、高校生活最後のホームルームだ。中等部から高等部まで、みんな本当に頑張ったぞ!大学部の学部の振り分け試験も終わった。今から発表する!封筒を渡す。大学部でも頑張るんだぞ!」
「アオキ・・・」
「はい!」
「アキヤマ・・・」
「アワグチ・・・」
同級生が五十音順に名前を呼ばれる中・・・
「カワキタ・・・」
と、私の名前が呼ばれた。
「はい!結果は分かっている。薬学部だろう。医学部には後、一歩、手が届かなかった。」
教師の前に行き、保護者伝達用の茶封筒を渡された。
「カワキタ、最後まで諦めなかった姿勢は評価できる。自分に自信を持てよ!」
「はい!先生もお元気で・・・」
「大学部と高等部、歩いて15分しか離れてないんだ、いつでも遊びに来い。」
「はい、ありがとうございます。お世話になりました。」
私は大きくがぶりを振った。
彼女の所属する桃林大学附属高校は大学病院の後ろにあった。附属の大学はそんなに規模が大きいという訳ではなく。医学部、看護学科、薬学部、外国語学部、歯学部の4つの学部からなるミッション系の医療総合大学だった。
「心愛、学部、決まったんでしょ?」
「うん、多分、薬学部。医学部駄目だったら内部進学で薬学部希望だったからね。外部進学する学力もなし。」
「後、2ヶ月で大学生だね。外部からの子も多いから楽しみ。」
「うん!また、4月ね。心愛と卒業旅行行きたかったなぁ・・・」
「一昨日、バイト、決まったからね。明日からなんだ。」
「そかそか。カフェのクルーでしょ?」
「そそ。」
友達にはキャバクラで働くことになっていることは伏せていた。
「じゃ、また、今度は大学生だね。またねー。」
「またねぇー。」
バスもあるが、三鷹市下連雀にある自宅から高校までは自転車で通学してきて、大学へも距離的にさほど、変わりがない。自転車だろう。自転車置き場まで来て、担任からもらった茶封筒を開封することにした。と言っても封はされていない。
そっと、中にある書類を引っ張り出す。
『河北 心愛殿、本学、医学部医学科への入学を許可する。』
と書かれ入学金と前期の授業料の振込金額と振込用紙、振込締切日等々が書かれていた。
「え?えーーーーっ!医学部ーーーーー?」心愛はフラフラして嬉しさのあまり、立っているのが精一杯だった。
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