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「おやおやぁ~、二人とも見つめ合っちゃってどーしたの?ついに汐君にも春が!!」
突然、騒がしい人が駆け寄ってきた。
「咲哉、うるさい。この人、見学したいって」
「えぇー、つれないぞぉ~汐君」
騒がしい人は汐君?につんつんちょっかいをかけて頭を叩かれていた。
「いったいなぁ。で、君が見学の子?かぁわい~。存分に見ていってよ。ささ、入って入ってぇ~」
そう言って部屋の中に案内してくれた。
部屋の中は机が4つ四角形に置かれていて椅子が四脚あった。そのうちの1脚に座るように促されたので座ると、前に騒がしい人が、斜め前に汐君が座った。
「まずは自己紹介からだよね。僕は部長の青柳 咲哉2年、こっちが副部長の汐見 光1年。まぁ二人しか部員いないんだけどね!部活内容は僕が作ったスイーツを食べること。なにか質問ある?いっぱい聞いちゃって!!」
「えと、部活は、週に、どれくらい、あり、ますか?」
「うーん、大体僕の気分次第なんだよね。まぁ週一であるか無いかくらいかな。その日にLINEで送るから、ある日に来れた君はラッキーボーイ!」
ばっちりとウィンクを決めながら指をさされた。そして、カモンカモンとジェスチャーをされる。
「スイーツ、部長さん、の、手作り、なんですか?」
「ふふん、よく聞いてくれた。僕はスイーツ作りに関してはプロに引けをとらないほどの腕前だと自負している!実際、いろんなコンクールで賞もとってるし。でもね、ただ作っても食べてくれる人がいないとつまんないんだよ。だから、この部をつくったんだ」
意気揚々と話す部長さんは、自信満々できらきらと輝いていた。
騒がしくて変な人だけど、眩しいくらいに輝いている部長さんが作るスイーツはきっと楽しい味がするんだろうと思った。
「僕、入部、しても、いい、ですか?部長さん、の、スイーツ、食べて、みたい、です」
部長さんと汐見君を見ながら言った。
「わぁぁ、やったぁ。大歓迎だよ!!汐君、聞いた!?僕のスイーツが食べたいってさ!この子見る目あるよぉ~」
嬉しそうに汐見くんの肩をバシバシとたたく部長さんを、汐見くんは優しい目で見ながら笑っていた。そして、僕の方を見て手を差し出す。
「これからよろしく、同い年なんだからタメ口でいい。名前は好きに呼んで」
言い方はぶっきらぼうだけど、汐見君の表情は最初の無表情が嘘のように穏やかだった。
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