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お蔵入りのスカート
今日はスカートをはいていこうと決め学校へ向かったが、寮のエレベーターで偶然会ったはなちゃんに一瞬で部屋へと連れ戻された。
はなちゃん曰く、そんなもの履いていたら襲ってくださいと言っているようなものらしい。それからもはなちゃんは、延々とスカートの危険性について語った。
「せなは可愛いから凄く似合ってるけど、そんなの履いてたら襲われるからね。せなは、まだ馴れてないから分からないかもしれないけど、部屋を一歩出ればここは狼の巣窟なんだよ。危機感もって!それに、授業中周りの気も散っちゃうでしょ。早く着替えてきなさい!」
はなちゃんは僕をリビングから部屋へと押し込み、額にデコピンをした。パチンと子気味の良い音が鳴り、とっさに額をおさえたが大きい音に反してまったく痛くなかった。
あずやゆいからこの学園のことを色々と聞き理解できた気でいた。けれど僕は、同性から好意を持たれることや性的な対象としてみられることをお伽噺のように思っていたようだった。同性愛に嫌悪感があるわけではない、ただただ現実味がなかった。よくよく考えて見れば確かにはなちゃんの言うとおりなのかもしれない。
せっかく作ってもらったけれど、学校に着ていかないほうがいいのだろう。ちょっと名残惜しく感じながらも着替えてクローゼットへしまう。理事長には申し訳ないけど、僕自身はあずたちに見せれただけで結構満足していたのですんなりと諦められた。今度、お詫びに電話をしよう。
よし。学校へ行こうと思い時計を見れば、SHRまであと十分しかなかった。はなちゃんの話は意外と長かったらしい。顔を見合せ焦った僕らは、ダッシュで部屋を飛び出した。普通に行けば15分かかるけれど、走れば何とか間に合うだろう。
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