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ロード、引退する
その翌日、俺は所属していたギルドに引退届を提出した。
まぁ、特に止められる事もなく事務的に処理され俺は冒険者を引退した。
ギルドを出て振り返って建物を見たが特に感慨も無かった。
良い事も悪い事も無く特に親しい友人もいなかったからなぁ……。
任務も基本的に一人でやってきたしたまに応援でパーティーに入ったりするぐらいだし。
まぁこんなもんか、と思い宿に向かい荷物を整理する。
心残りと言えばここの定食が美味かったんだけどそれが食べられなくなるのが残念だ。
「ロードさーん!」
「おぅ、レイシルじゃないか」
声をかけてきたのはレイシル・カーミア、巫女である。
以前、彼女が所属しているパーティーに応援で入った時以来、声をかけてくれる。
「今日も魔物討伐に行っていたのか?」
「はい!もうすぐAランクに到達しますからみんな気合い入ってますよ!」
「へぇ、Aランクか凄いなそりゃ。ギルドの期待も高いだろうな」
「またロードさんにサポートをお願いするかもしれないのでお願いしますね」
「おいおい、俺はCランクだぞ、Aランクの依頼なんてこなせる訳無いだろ……、ていうか俺冒険者じゃないし」
「えっ」
「俺、引退したんだ」
「えぇ〜〜っ!! まだ若いのにっ!?」
レイシルは思いっきり大声をあげた。
「な、何かあったんですかっ!?」
「なにもないよ、前から決めていたんだ。これからはのんびり暮らす事にするよ」
「そうですか……、それは残念ですね」
本当に残念そうな顔をするレイシル、うんその素直な気持ちを忘れちゃいかんぞ。
「まぁ、落ち着いたら連絡するよ、たまに遊びに来てくれ」
「はい、必ず遊びに来ますね!ところで何処かに引っ越すんですか?」
「あぁ、ここから西にあるサイトア地方にある山を購入したんだ」
「えっ!? 家じゃなくて山っ!? しかもサイトア地方っ!?」
またも驚きの声をあげたレイシル。
「そこ、私の生まれ故郷ですよ」
「えっ!そうなのか?」
「しかもそこの山々って確か『神宿る山』と呼ばれているんですよ」
そ、そういえばそんな事が書いてあった様な……。
まぁ、普通に暮らすのであれば問題はないだろう。
深くは考えないようにした。
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