冒険者ロード

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冒険者ロード

 冒険者というのはそれぞれ目標がある。  一攫千金を目指す者、名を揚げたい者、ただ強さを求める者……。  しかし、大体目標を達成する者は特殊な力を持っていたりする者が多い。  こればっかりは持って生まれた物なので仕方がない。  大体は現実に気づきリタイアしたりしがみついたりしている。  俺、ロード・トランスは何も持たないしがない冒険者のひとりだ。  14歳でギルドの門を叩きこの世界に入って10年、自分が何も持たない人間である、という事には早めに気づいた。  そこで俺は人生目標を立てた。  この10年でとにかく金を貯める、そして貯めたお金で家を買って残りの人生を悠々自適に過ごす。  そんな目標を密かに立てたこの10年ガムシャラに頑張った。  頑張ったおかげでそこそこの金が溜まり俺はこの金を持って不動産屋に駆け込んだ。  流石に都会に住むのは難しいので田舎に絞って俺は探した。 「ロード様、山なんて買ってみたらどうでしょうか?」 「は?」  不動産屋のいきなりの発言に俺は目がテンとなった。 「家を買うには冒険者という仕事は審査は厳しいんですよ。空き家率が高くなりますし……」  むぅ、確かにダンジョンに入ったり長期任務に出たりで留守にする事が多い。 「それでしたら、いっその事山を買った方がお得なんですよ、木や水等の資産は豊富ですから」 「言われてみれば……」 「ちょうど売りに出ている山があるんです。近くには村もありますから買い物には丁度良いですし」  俺は不動産屋のセールストークに乗ってしまい、その場で契約をした。  しかし、これが俺の人生を大きく変える事になるとは思わなかった……。 
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