第1話松戸に帰る

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第1話松戸に帰る

精神病院を抜け出した豪志は患者仲間のシャンボさんと千葉県松戸市に帰郷した。いくらも所持金がないので、とりあえず、松戸駅前でシャンボさんと2人でギター1本で路上ライブを演る。Oasis、Radiohead、Nirvana。次々に歌い演奏する。小銭を投げてくれる聴衆。2時間半演って2万円くらい稼げた。JASRACが来るとヤバいのですぐ退散した。 稼いだお金で駅前のライブハウスに入り夕食を摂った。何組か若いバンドが演奏している。演奏に聴き入っていた女性2人組みに話しかける。 「ココ、よく来るんですかー?」 「仕事の帰りにたまに」 エミとノリコという名前だそうだ。 「僕らも演奏したいな。カバーばっかりだけど(笑)」 「じゃあ、マスターに話付けてあげようか」 「いやー、僕らも疲れているので(笑)。じゃあ一曲だけ」 Radioheadの"Creep"をシャンボさんがしっとりと歌い上げる。 「I wish I was special , so fuckin' special」 「She's run,run,run!」 ハイトーンボイスの所でシャンボさんの声がかすれ、ギターの弦が切れた。 「ダメ。クスリのせい(笑)」 精神病薬の副作用は声帯にまで及ぶ。 エミとノリコは笑って拍手していた。 「行くトコないんでしょう。ウチに来ない?寝る場所ぐらいは何とかなるわ」 エミとノリコは二人で暮らしているらしかった。 二人の住むアパートに豪志とシャンボさんは着いて行った。2DKぐらいで、中は女性らしくモノは多いが整理整頓はされていた。 「こっちの部屋を使って。今お布団敷くね」 エミが言った。 「ありがとう」 疲れ切っていた豪志とシャンボはすぐに眠ってしまった。
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