なくした約束

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 もしもタイムカプセルを埋めた記憶のない俺が捜索担当だったら、そんなドラマチックなことも起こり得ただろうが、俺たちの幹事は酔っていながらもしっかりとした奴だった。お目当てのものは一切捜索されることもなく、すこぶるあっさりと掘り返された。  土から出されたそれは、泥だらけのプラスチックの容器だった。十年くらいでは劣化もしていないようで、何だかタイムカプセルというには風情のないただのゴミに俺には見えた。しかし、元同級生たちは楽し気にキャッキャッと声を弾ませながら、まるで徳川埋蔵金でも掘りあてたような期待に満ちた目を向けている。あの頃から、俺と彼らにはこれほどの温度差があったのだろう。  冷めた目をする俺をよそに、タイムカプセルは丁寧に開封され、中に封印されていたお宝がそれぞれの手へと渡されていった。俺の名前も呼ばれ、なんだ、十年前の俺はしっかりとクラスのイベントに参加していたんだな、などと変に感心をしつつ自身の宝を回収した。  俺に手渡されたものは、密閉された袋に入った小さな紙切れだった。それを見ても俺の記憶は刺激されない。手の中に収まる小さな紙片に首を傾げる。まさか、十年後の自分に向けて手紙を書いたなんてセンチメンタルなことを俺はしたのだろうか。
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