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「これ、どういうことだ?」
紙片を見た友人は、意味が分からないという顔を俺に向ける。だが、当の俺も全く意味が分からないのだ。「さあ」と言って首を傾げる。
「どうしてこんなことを書いたのか全く分からないんだ。そもそも、タイムカプセルを埋めたことすら覚えていないんだからさ」
俺の困惑顔を見ながら、友人は昔を思い出すように眉間に皺を寄せながら考え込んだ。
「そういえば……」
「なんだ?」
「俺もあまりはっきりとは覚えていないんだが……、あの時、気分が悪いとか言って、お前いなかったんじゃないか?」
「あの時?」
「タイムカプセルを埋めた時だよ。ああ、なんかそんな気がしてきた」
だんだんと当時のことを思いだしてきたのか、友人は顔を上げて頷いた。
「俺は体調不良でその場にいなかったから、覚えていなかったのか? じゃあ、この紙は? 書かれているのは俺の字だと思うけど?」
「う~ん……」
友人は唸り声をあげると腕を組み、再び考え出した。
友人の捻りだす答えを固唾を飲んで待っていると、再び背中を叩かれて俺は飛び上がらんばかりに驚いた。
恐る恐る振り返ると、そこには鈴木綾音の笑顔があった。
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