ミラクル戦士じゃないとだめですか?〜魔王の課外授業①〜

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「明日から仕切り直しだな……」みくが航のことをぼんやり考えていると、店員が整理券を配りながら近づいてきた。みくの鼓動が速くなる。 「はい、どうぞ」  みくは、手渡された整理券にかぶりつき、思わず叫んだ。「150番!」 「おおっ…」周囲からどよめきと拍手が起こった。溢れる脂肪さんはにやりと笑い、親指を立てて祝福してくれた。  フィギュアを手に入れた客が得意げな顔で次々と帰途につく。みくの順番がようやく回ってきた。運悪く次回販売分の整理券しかもらえなかった客のうらめしげな視線を背中に感じながら、プレゼント用の包装を頼んで会計を済ませる。 「お待たせしました。最後の一体、ラッキーでしたね」  店員からフィギュアを受け取り、ようやく激レア商品を手に入れた実感が湧いてきた。 「プレセント、ゲット! すぐに帰るね!」  母親にLINEすると、みくは、秋葉原駅に向かって走った。悠太郎の笑顔を想像すると、どうしようもなくうきうきして、右手を流れる神田川の下水臭ささも気にならなかった。 「ワタシヲナデテ! カワイガッテヨ! ギョエー!」  改札前の小さな公園に人だかりができている。甲高い奇妙な声は、その人混みの中から聞こえてきた。時折、ばさばさという羽音が混じる。群衆にさえぎられて声の主は見えない。この辺りでよく見かけるストリートパフォーマンスかもしれないな……。みくは興味をそそられ、人垣をかき分けて近づいた。  ―――オウム?
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