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それから姑は家に来なくなった。すっきりした、ストレスもなくなったし。
でも、どうしてかな。盗みはなくならない、もう絶対に変だ。まさか本当に見ず知らずの人間が窃盗に入っているのだろうか。不安になってセキュリティを強化することにした。
まず警備サービスは会社をかえることにした。今入っているのは一般的なやつだ、セレブが使ってるって噂のAI搭載リアルタイム監視タイプにしよう。玄関に監視カメラつけてる、みたいなステッカー貼っておけば抑止力になるだろう。あとは鍵は全部スマホで開けるタイプにしたり、鍵穴があるやつはやめよう。ピッキングで開けられるかもしれない。
そういう事をしていたら夫が不審そうな顔をして聞いてきた。息子も何かいいたげにじっと見て来る。
「おい、家の鍵全部替えるだけじゃなく警備会社もかえるってどういうことだ。基本料金倍じゃねえかよ」
「前に話したじゃない、物が盗まれてるって。止まらないの、まだ続いてるの!」
「……。俺は盗まれてないぞ。和孝、何かなくなってるか」
「僕も何もなくなってないよ」
「じゃあ私だけ? だったらなおさらおかしいじゃない、盗んでる奴は私だけターゲットにしてるってことでしょ!? 気持ち悪い!」
そこまで言うと夫は大げさに大きくため息をついた。まただ。また人の話を聞かない、この人は。
「侵入された形跡ないのにどうやって盗みに入るやつがいるんだ、透明人間なのか。今は在宅で俺の方が家にいる時間長いんだぞ、誰かが来てる様子はない」
「じゃあ何でなくなるの!?」
「俺が知るか。誰かのせいじゃないならお前が自分でなくしてるだけだろ」
そう言う夫の視線は冷たい。私が何かを言う前に、珍しく畳み掛けるように続けた。
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