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それからC地区へ彼女は行ったのか?
普通は訪れはしないだろう。
あんな目にあって、彼女もまた被害者でありながら関係者だ。
でも彼女は来た。
いつもと違うのはいつもと同じワンピースなのだが、初めて真っ黒なワンピースを着て花束を抱えていた。
そして公園の真ん中にその花束を置いて帰って行った。
その様を見ていた連中は、流石に懲りたのか、彼女に一言も声をかける事なく、目を合わせる事もなく、逆に、あの時の光景が浮かんで来る様で、無意識のうちに避けていた。という方が正しいのかも知れない。
それから二度と彼女がC地区へ行く事はなくなった、という。
それからのC地区の荒廃と粗暴さは加速して行った。
隠蔽された男の身体は、結局誰が隠蔽したのかも、どこに連れて行ったのかも、誰も知らない。
いや、知らないと言う事にしておかなければならない、というのが正論か、、
最高の性欲の捌け口の天国からの、急な地獄。
犯人が誰だか、理由も分からない猜疑心。
迂闊に出来事を酔って喋ろうものなら、多分明日自分の命はないかも知れないという見えない恐怖。
誰もが信じられない孤独。
けれど、その沼からは逃げられない地獄。
そりゃ生きてる気がしないだろう。
誰が彼等を救うのだろう?
女神を冒涜した罪なのか?
それも分からない。
けれど、女神を蔑ろにしなかった地区は未だに、いや、以前より安泰なのだから、あながち完全に勘違いという事もないだろう。
何故なら、あの強姦、輪姦、獣の山が出来てなければ、決してあんな惨事はなかったのだから、、
強欲のツケとしては甚だ厳しすぎる。
俺はC地区の話を聞いて縮み上がった。
あの女は天使なのか?
悪魔なのか?
これだけの男達の人生を変えるなんて、、、
そんなC地区の現状を体験しているのに、あの女は天使の様な顔をして、他の地区を周り、笑顔を振り撒いている。
何事もなかったかの様に、またホームレスに抱かれる。
多分C地区の内情を知っている奴は殆どいない。
だが、俺は聞いてしまった。
けど、誰にも言えるはずもなく、今まさに目の前で繰り広げられている、女神天国をB地区の奴等は堪能している。
テルは今日もご機嫌だ。
周りの人間も幸せそうだ。
男を活かせるという事が、こんなにパワーになり、惨劇も生む事になるとは、、、
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