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その晩は遅くまで賑やかだった。
流石に初っぱなから、許されているとはいえ肉体関係を持った奴はいなさそうだった。
けれど、彼女と会話を楽しんだ奴等は次の日とても上機嫌だった。
「マサさん、あれ、本物っすよ。」
人が二度寝してんのに話しかけてきたのは弟分のテルだった。
初めて会った時に、てるてる坊主みたいだから、が由来だ。
まぁ今でも坊主だが。
「何がよ?朝っぱらから。」
俺は寝返りをうち背中を見せた。
「昨日の、ほら、べっぴんさんですよ。」
テルは興奮気味だ。
「あー、そんなん来てたな。で?何が本物なんだ?」
相変わらず要点だけ喋れないかね、この男は。
「やれるっす!俺次会った時にやらしてくれるか聞いてみたんす。そしたらオッケーだったんすよ!」
能天気な野郎だ。来るわけねぇだろ。
まともな女じゃねぇな。どっちみち。
「ま、次、本当に来れば、ねー。」
付き合っていられん。
「絶対来るっすよ!そしたら俺童貞卒業じゃん!」
、、、ってかお前、その歳まで童貞だった事に俺は驚きだわ。
まぁ、突っ込まないけど。
けど、こーゆー能天気がある意味無敵なところはあるけどな。
地雷を地雷と気がつかない奴。
地雷を踏みすぎて地雷慣れして感覚狂ってる奴。
ある意味最強。
だからテルはアホだけど皆に可愛がられるのかも知れないな。
俺は無理だが、、
俺は二度寝を決め込む事にしたが、テルは力の限り、昨日の女の素晴らしさを聞いていない俺の耳に向かってプレゼンしていた。
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