ホームレスハウスに舞い降りた性天使【第2章】

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眉唾ものだと思っていた出来事は次の週には事実となった。 また現れたのだ、あの女が、、 ホームレスの男共は大いに喜んだ。 俺の様に半信半疑な奴も多くいたみたいで、本当にまたこの小汚ねぇ世界に清い雫が落ちるなんて、思ってもいなかった。 狂喜の波紋は次第に大きくなり、大きな渦となった。 そんな中、テルが俺の近くに走り寄りガッツポーズで興奮気味に言った。 「俺、決めるっす!」 返す言葉を投げ掛ける前に、テルはまた渦の中に戻って行った。 おいおい、まじかよ。 俺は加わる気はなかったが、確かにこの先の行方は気になった。 夜の徘徊も休みにする事にして、目の前の奇跡を見物する事になった。 ある意味、ホームレス史上初ではないかと思われる場面だ。 盛りの付いた男達は相変わらず奇声を発しているが、ほどなくそれも静かになり、群を成していた人山は散り散りになって行く。 何が始まるんだ? 俺は静観する。 どうやら女は一人一人の寝ぐらへお邪魔する様だ、それなりのルールが決められたのか、特に奪い合う様な行動は見られず、誰かの寝ぐらへ女が入る度に皆外から聞き耳を立てていた。 見回すと興奮している輩は、当然の様にズボンの中に手を入れモゾモゾとしている。 中には堂々とチンコ丸出しにしてハッスルしている。 まぁ、皆女には飢えているからな。 いつも蔑まれ、汚物扱いされる事はあっても、優しくされたり、笑顔を向けられたりする事はないからな。 そりゃ興奮もするだろうよ。 ホームレスという事はそーゆー事ものだ。 しかし、汚ねぇ男に好き好んで抱かれる女なんて頭がおかしいとしか思えない。 どんなあばずれかは知らないが、怖くはないんだろうか? 男が数人力ずくでやれば簡単に傷つけられるのに。 まぁ、しかし女はきちんと、初めここのトップであるシャドーさんに一番に連絡している所をみる限り、ちゃんと押さえている所は押さえているんだろう。 トップが絡んでいる上での仲間トラブルは破門、とまで厳しくはないが、少なくてもここで生きていくのは大変になる。 女で沢山失敗をした俺は、恐ろしい位に裏がありそうな、あの女をどうしても簡単に認めるわけにはいかなかった。 まぁそれは俺の勝手な疑心暗鬼で、そもそもやまじぃの許可とシャドーさんの許可が下りているという事は、多分そこまで警戒すると事はないと思うのだが、、、 俺程考えず、目の前のご褒美に素直にヨダレを垂らして群がっている奴等は、目の色を輝かせ、彼女の後を追う。 静かなハウスもあれば、何だかハウス周りにいる男共ががやがやしている所もある。 中には歓喜の声や口笛を吹いたりしている。 中で何があるのかは分からない。 しかし野郎共がとにかく嬉しそうなのは明白だった。
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