32人が本棚に入れています
本棚に追加
「会えて良かった。やっと、、、会えた。」
雅は涙を流した。
聞きたい事は沢山あったが、うまく纏まらない。
両親は何故来ないの?
何故貴女は今まで姉の存在を知らなかったの?
今どこに住んでいるの?
「私ね、お姉ちゃんの存在を知ってから、病気になったの。凄く凄く苦しくて、、」
雅はまだ泣いている。
「、、、病気、、、?」
私は雅に反応した。
「そう。ずっと一人っ子だった時は普通に幸せだった。なのに、お姉ちゃんが私を壊した。」
泣いてる顔から一気に私を睨み付ける。
え、、?
何で、、?
壊した、、、?
私は彼女と触れ合った事はないはず、、なのに、、私が?壊した?何を??
「私は普通の、東京の大学生だった。」
東京、、、ここからはだいぶ離れている。
知らなかった、、両親も東京なのだろうか、、
私は黙りこくっていた。雅は続ける。
「就活を始めようとした頃だったかな?双子のお姉ちゃんが夢の中で私を責めた。許さないって、毎晩、毎晩。」
「私は両親に相談した。眠れない程それは辛かった。両親は私をクリニックに連れて行ってくれて、うつ病の薬と睡眠薬を処方してくれた。」
「確かに会った事もないお姉ちゃんに苦しめられるとか、それは私のただの妄想だと思ってた。初めは。」
雅は話す度にどんどん悔しそうな顔になり、両手で膝のスカートを握りしめる。
「それが夢じゃないって分かったの。」
「私は目が覚めると自分から酷い臭いがして、、、誰かに犯された様に、、、液体が、流れていた、、」
「一度だけなら体調不良の勘違いで済む。そうじゃなかった、、初めのうちは二週間に一回位、最近は、、、ほぼ、、毎日、、、、」
、、、、、。何を言っているんだろう、この子は、、、私は全く共感出来なかった。
「次第にこれは何かあると思って、私は探偵を雇って、私を見張って欲しいとお願いした。身近な人には相談出来なかった、、、あまりに、、酷くて、、、」
「夢遊病っていうのかな?私が眠りに着くと私は毎回ワンピースを着て浮浪者の集まる場所に笑顔で通っていた、と、そして、そこで、、、私は自分の意思でその浮浪者達と身体を交じ合わせていた、と、、、」
「私にはそんな記憶はどこにもない。確かに昼間は眠くて眠くて仕方がなかったけど、何とか内定も取った。探偵に写真まで見せられると疑う事は出来なかった。」
「内容が内容だけに、私は更に悩んだ。異臭が自分から常にしているのではないかと、汚い体液がこの身体をさ迷っているのだと考えると気が狂いそうになった。それでも私は真実を知りたかった。」
私の、、、夢の中、、?と同じ、、?
そこで初めて接点らしき言葉を聞いた。
「その浮浪者達に私は【レイ】だと語っていたの。私は【ミヤビ】、【レイ】ではない。そしてそこで両親に姉の名前だけ何とか聞いたら【麗】だと、、、死んだって言ってた。でも私はそこで確信した。【レイ】が私の身体を利用しているのではないか?まだどこかで生きているのではないか?ってね。」
、、、、、そんな、、、バカな、、、
「実際、ほら、【レイ】は存在した。今、私の目の前に。お姉ちゃん、心当たりあるんじゃないの?」
雅は私をまた睨み付ける。
「で、、でもそれは、夢の中の話で、、私自身はここから一歩も出た事がない、、、、」
正論だ。
私は無関係、、、の、はず、、、
最初のコメントを投稿しよう!