悪ふざけ?

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悪ふざけ?

「結婚相手、彼女の事を何とも思えないまま、いいのかな?って… 」 「人を好きになった事がなくても、結婚しちゃおうって思ったんだろ?だったらそれでいいじゃん。今になって何で迷うの?」 それは… と自分でも分からない匠が口籠る。 立ち上がると涼は、綺麗に並んだ酒の瓶をラックから一つ取り、グラスに氷を入れてキッチンで手を動かしながら匠に訊く。 「でも、それと、ここに居続ける事と何の関係があるの?」 それは… それでも買ってきたコンビニの弁当を頬張りながら答える。 「家にいると結婚の話ばかりで、気が乗らない自分には辛くて… 」 「ああん?そんなんで、結婚生活、やっていけるの?」 涼が呆れた様に声に出す。 「多分、無理です」 これまでのぐずぐずな言いっぷりに反して、はっきりと答えた匠へと視線が動く。 「なんで?」 匠の為に作ったカクテルを差し出す。 「ファジーネーブル」 アルコールは弱めだから、匠にも大丈夫だよ、とテーブルに置いた。 カクテルを作ってくれた事に頭を下げて、唇を噛むと、意を決した様に口を開いた。 「自分、全く性欲を感じないんです」 「… え?」 どういう話しの流れになるんだろう、と視線を左に流す。 「結婚する女性とデートをしても、何も出来ない、というか、したいとも思わないんです」 んー、どうしようかな、と涼は若干困る。 「一度、彼女からキスをされた時、舌を挿れられて… 気持ち悪くて、結婚するまでは、と突き飛ばしてしまって… 」 そう言いながら、作ってくれたカクテルを一気に飲む。 アルコールが弱めとは言え、一気に飲んでしまったら、匠には充分に酔えるカクテルだった。 あ、失敗、と涼は思う。 「キスも結婚までしないって、なかなかだな」 ちょっと汗を掻いて涼が苦笑い。 「涼さんは!女性と!… その… 気持ち良くなれるんですか?」 酔ってしまった匠が、ほんのり頬を赤らめて真剣な顔で涼に訊いた。 「ん〜、そうねぇ〜、気持ちは、良いかな?」 天井に目を遣りながら答える。 「気持ちがいい?どんな風に?」 え〜っ? と困惑した。 「匠さ、オナニーは?」 立派な成人男性に訊くのもどうかと思ったが、そもそもそこからだろう、と思った。 「えっ!?」 湯が沸かせるだろうと思える程に、匠の顔は真っ赤になり、俯いた。
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