𝟘𝟞 見つめて、触って、心ざわめく

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七生くんもうギャルじゃん!画面がうるさくて最っっっ高!! しかも自撮りうっま!リーチなっが!セルカレンズなしでこのクオリティ?!これは慣れてる!女の子が好きな角度もわかってるし光の具合とかもちゃんと計算されてる!えー、すっご! 「あ、そうだ。女装は俺だけなんで安心して下さいね。俺は宣伝係兼オリへの生け贄ってことで、特別枠なんです」 「え、そうなの?ホッとしたやら残念やら~!」 「うはは、アミさん素直でいいっすね!……あ、と。すみません。常連客設定で通して貰っても大丈夫ですか?同クラに幼なじみがもう一人いるんで、親戚だとちょっと怪しまれるかも。……変装、オリに寄せてくれてますよね?せっかくなのに本当にごめんなさい」 「全然いーよ。てか気付いてくれただけで嬉しい!どう?姉弟っぽくない?瞳の色も合わせてみたんだ。グラサンで隠れてるけどね」 今度は私がぱちんとウインク。 「そういえば、モモちゃんもだけどよく私だってわかったね」 「俺は変装の時の特徴と雰囲気を先に聞いてたんで。聞いてなかったらわからなかったと思います。ほんとに全然イメージ違うし」 「そっか!なら良かった~!モモちゃん変装甘いとかっていうからさあ。この格好の時にバレたことはないんだけど、今日は周り若い子ばっかりだしね。すこーしだけ不安だったんだ」 よし、気を取り直して行こうかと。七生くんと肩を並べて歩きだす。コツコツと二人分のヒールの音が廊下に響いて、一緒に笑った。 「女装、本気だねえ」 「クラスの女子が張り切っちゃって。オリもある意味すごいっすよ」 「わっはは!それは楽しみだ」 「あの行列、ほとんどがオリ目当て」 「あ、やっぱり?そんな気がしてたよ~!機嫌わるそ~」 「大正解!クッソ機嫌悪いです」 もう一度、顔を見合わせて笑いだす。こんなにかわいい子まで独り占めしちゃって申し訳ないな。せめて売り上げには貢献しよう。そう心に決めて、モモちゃんの驚く顔と怒っている顔を天秤にかけ、どっちに傾くかなって想像して最後は一人でこっそり笑った。
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