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「で、なにか言い残すことは?」
「ヒエッ!ここ死刑台喫茶だっけ?!」
教室の良さを巧く残した昭和レトロ風の喫茶店の片隅で。私は尋問を受けていた。男性用のチャイナ服を着たとんでもないイケメンから。
「ふぐぅ……ぶっちゃけ凄まれてもご褒美ですぅ……」
「あ?」
「ヒエッ!なんでもありません!!」
どうしてこうなったのかは、遡ること十数分前。
『はいはーい、VIPなお客様ご来店~!オリご指名でーす!』
いい笑顔といい声で、迷うことなく高らかに言い放った七生くんと、その隣にいた私に一斉に注目が集まる。瞬間、静まって。あとはもう「ざわ……ざわ……」状態。ちょっと面白かったのはここだけの秘密。
『美方くんダメだって!さっき先生方の相手したばっかりで百瀬くん顔死んでる!機嫌も死んでる!ずっと無言でパフェ量産してる!』
『え~、大丈夫だって。いーからオリ呼んでよ』
『やだよ!怖いもん!』
『怖くないって。オリはなんだかんだ優しいでしょ。ほら、お客様待たせていーの?マジでオリにとってのVIPなお客様なんだよ?』
『もう!殴られても知らないからっ!』
『はいよ~、パンダ席で待ってるからヨロシク♡』
パンダ席とはなんぞいや。とは、思いつつ。スマートにエスコートしてくれる七生くんの後に大人しくついて行く。窓際、一番前の角席。なるほど、パンダ席ね。これはモモちゃんが疲れるのも納得だなあ。
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