𝟘𝟞 見つめて、触って、心ざわめく

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賛辞のつもりだった。いつもありがとうって。感謝の気持ちを込めて。それなのにモモちゃんはピタリと動きを止め、息を呑む。 あ、やばい。私、間違えたんだ。漠然とそう思った時にはもう手遅れで、モモちゃんは一人で立て直してなにもなかった(・・・・・・・)と、身に纏う空気でまざまざと訴えてきた。なら、私もなにもいえないよ。 『パフェは後から持ってきます』 『え、あ、……ぅん』 『七生に誘われて来たんでしょ。今日はどんな設定なんですか』 『ううぅ、松ノ屋の常連太客設定のアミちゃんですぅ……』 『わかりました。常連客の〝アミ〟さんですね』 『あ゙あ゙あ゙あ゙!なんか!ヤだあ!他人行儀で!ヤだあ~!』 『っ、そんなのそっちの方が!』 『え?』 『……いえ、なんでもないです』 ここで漸く、冒頭に戻る。さながら私は蛇に睨まれた蛙だ。ゲコ。 サプライズ気分で相談もせず、勝手に来たのがモモちゃんの逆鱗に触れちゃったのかな。でも、今日は私にも引けない想いがあって、どうしても色んな人と関わってるモモちゃんが見たかった。 見たかった、ん、だけど、逆に見られてるうううう! 「モ、モモちゃ……百瀬くん!」 「なんですかアミさん」 「んぎぃ!やっぱり他人行儀!じゃ、なくて!めちゃくちゃ写真撮られてるけどいいの?」 「……ああ、まあ、諦めました」 「諦めないで!!」 「っ、モノマネ入れてくるのやめろ」 ふふと笑った顔を見せないように伏せて、また艶やかで美しい絹糸のカーテンが出来る。さらさらで、きらきらで、あの、ちょ、シャッター音すごいな!笑った気配に敏感すぎでは?!気持ちはわかるけど!
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