𝟘𝟞 見つめて、触って、心ざわめく

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(……それと、多分、こっちも原因) モモちゃんと長袍(チャンパオ)の組み合わせ。しかも赤色。アンニュイ美少年に赤チャイナは大・天才。私も常々モモちゃんには赤だなって思ってて。特にこの某激安ディスカウントストアで購入したような安物のコスプレ衣装じゃないガチめなものなのが推せる。映えまくり。 高級感のある厚手の生地に上品な光沢。刺繍は龍や鳳凰と縁起がいいし、然り気ない装飾も繊細かつ優美でモモちゃんによく似合ってる。スリットから覗く黒のチャイナパンツも露出ゼロで鉄壁のガードのはずなのに、そこが逆にセクシーで魅了されるし、 なんか、なんか、 (ずぅっと見てられるもんなあ) まるで百瀬汐里という一つの芸術品。皆で共有してその素晴らしさに称賛の声をあげ、拝み、記憶にも記録にも残したくなるのは仕方がなかったと。その気にさせてくるから美の暴力はマジでやばい。   「……食べないんですか?」 「えっ!あ、食べるよ!モリモリ食べるよ!」 「そーですか。カフェオレも冷めないうちにどうぞ」 「っ、うん!ありがと!」 頬杖をついてこちらを見つめるモモちゃんはいっそ怖いぐらいに綺麗で、呼吸が止まる。これで優しく微笑まれようものなら周囲もろとも即死案件だなと独りごちて、ハムチーズサンドに歯を入れた。 「ん~!たまごサンドも美味しかったけどハムチーもサイッコー!」 「それは良かったです」 「モモちゃ……百瀬くんも食べる?」 「俺はもてなす側なので」 「あっ、その感じ。さては朝からなんにも食べてないな?てか今日は朝も抜いてたじゃん。コーヒーだけでさ」 「ソンナコトナイデスヨ」 「わっはは!でた片言!ほら、百瀬くんもどーぞ」
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