15人が本棚に入れています
本棚に追加
それは何気ない日常から、始まった。
「修学旅行、京都だってよ。」
「うっそ〜、だっさ〜い!海外じゃないの〜」
朝礼が始まる前、友達の加茂ときわと、源光清がこっそり教えてくれた。
「紅葉(クレハ)。どう思う?」
「どう思うって……学校で決めたんだから、しかたないじゃない。」
そりゃあ私だって、海外に行きたかった。
でも決まってしまったものは、どうしようもない。
「はい。静かに。」
担任の神崎先生が、教室に入ってきた。
「さあ、皆さん。お楽しみの修学旅行が、もうすぐに迫ってきましたね。」
先生はやたら、テンション高めだ。
「神崎ちゃん。今回の修学旅行で、実家の旅館、使って貰えるみたいだよ。」
「どうりでね〜」
椅子に反り返ったり、机に伏せたり、二人は自由だ。
「って言うか、光清もときわも、なんでそこまで先生の事知ってんの?」
グテグテしている割りには、二人とも細かいところを知っている。
最初のコメントを投稿しよう!