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そんな姿の俺の前に、廼宇が現れたのだ。
本物を目前にしてモノが収まるわけがない。俺と気づいたらしき廼宇に気の緩む隙を与えず、股を張らせながらに清婁を寝所へと連れ込んだ。
「……お前の『はい』で、勃ったのだ。ただの二文字、お前の声が聞こえただけで。下卑た男の役だとて我慢もせずに、そのままにおいたまで」
「えっ」
廼宇は軽く声を出すと、口を押さえた。顔がみるみる赤くなる。可愛い。どうしたのだ今宵のお前は。今度は唐突に、可愛い。
「……清婁さんに欲情したのかと。……妬いていました。すみません」
「妬いた?」
「はい。あの時からずっと思っていました……俺が、座りたかった、と」
…………ん?
「俺が、勃たせたかった。あそこに座り腿をまさぐられるのが俺ならばどんなによいかと」
背が、ぞくりとした。
常に敬語を崩さぬ廼宇が、自らを俺と言う。無防備に晒されたその素の態に血が騒ぐ。
「……清婁ではなく、俺に妬いていたのか」
「当たり前でしょう」
俺の身体にすり寄り、頭に顔を埋めた。
「ああ、暁士様の香りだ……」
途端に、股が跳ねた。
嫉妬を受ける。それがこれほどにも甘美な欲をもたらすとは。
寝所に寝かそうと腰を抱いたらするりと逃げ、俺の股の間に膝をついた。膝立ちして俺の頬に両の手を当て、口吸いをねだる。
廼宇の口はいやらしいのだ。唇と舌がそれぞれに俺を求める。あられもない動きで求めるのだから俺の舌も股間も全てが激しく怒張する。
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