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そんなある日の事だった。
「今夜の予定は?」
仕事が終わる1時間前に、社長から尋ねられた。
「前にも申し上げた通り、社長とプライベートを……」
「君じゃなくて、俺の予定だよ。」
「はっ、はい!失礼しました。」
社長のスケジュール管理も、秘書の仕事。
私は、手帳を開いた。
「ええっと……女優の石坂花音さんと会合……ええっ!?女優⁉」
そんなスケジュールが入っていたなんて。
書いた時には、仕事に夢中で気づかなかった。
「花音と会うのか。」
肝心の社長は、ファーっと欠伸をしている。
女優と会合って、いや、社長らしいけれど。
石坂花音って言ったら、今や人気絶頂の女優だよ?
そんな人と会合って、週刊誌にでも撮られたら、どうするんだ。
「どんな、間柄なのですか。」
「気になる?」
社長は意地悪そうに、微笑んだ。
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