第1章 仕事とプライベートは分けたいだけ

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そんなある日の事だった。 「今夜の予定は?」 仕事が終わる1時間前に、社長から尋ねられた。 「前にも申し上げた通り、社長とプライベートを……」 「君じゃなくて、俺の予定だよ。」 「はっ、はい!失礼しました。」 社長のスケジュール管理も、秘書の仕事。 私は、手帳を開いた。 「ええっと……女優の石坂花音さんと会合……ええっ!?女優⁉」 そんなスケジュールが入っていたなんて。 書いた時には、仕事に夢中で気づかなかった。 「花音と会うのか。」 肝心の社長は、ファーっと欠伸をしている。 女優と会合って、いや、社長らしいけれど。 石坂花音って言ったら、今や人気絶頂の女優だよ? そんな人と会合って、週刊誌にでも撮られたら、どうするんだ。 「どんな、間柄なのですか。」 「気になる?」 社長は意地悪そうに、微笑んだ。
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