第1章 仕事とプライベートは分けたいだけ

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「私は、邪魔なのでは。」 「いや、そんな事ないよ。」 そして食事が運ばれて来た。 とても高級なコース料理だ。 「花音。俺、社長になったばかりだから、結婚はまだできない。」 「そうなの?」 「俺、ちゃんと仕事に向き合いたいんだ。父親の跡を継いで、立派に社長の仕事をやり遂げたいんだ。」 花音ちゃんは、可愛く口を尖らせている。 「じゃあ、私はいつまで待てばいいの?」 「俺が一人前になるまでだな。」 びっくりしたのは、社長、意外にしっかりしてるんだって事。 でなければ、この会社の取締役の人だって、この人を社長にはしないけれど。 「柚季。仕事、好き?」 「ああ、やりがいを感じているよ。」 そして、仕事にも頑張っているところ。 ただのチャラい若者じゃないんだ。 私はふと、社長と花音ちゃんを見た。 この世界で、偶然に出会った二人。 幸せになって貰いたいと、思わずにはいられなかった。
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