第1章 仕事とプライベートは分けたいだけ

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「君って、帰りはどうするの?」 「タクシーで帰ります。」 「方向は?」 「ああ……東側で……」 「一緒だ。乗っていきなよ。」 社長は、私を真っすぐに見ている。 ここで、タクシーも社長も待たせるワケにはいかない。 「ありがとうございます。」 私は、社長の好意に甘えて、一緒のタクシーに乗った。 「家、どこ?」 「ええっと……」 ここで社長に、家を教えていいのだろうか。 「それよりも、社長のご自宅へどうぞ。私はそこから一人で帰りますので。」 社長は、うんと小さく頷いた。 「じゃあ、東側に行って下さい。」 「分かりました。」 タクシーは、ゆっくりと動き始めた。 まさか、社長の自宅が同じ東側だったなんて、驚きだ。 同じ東側だと言っても、高級住宅街なのだろう。
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