第1章 仕事とプライベートは分けたいだけ

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「まずは、小口現金等は、余程でない限り捺印ね。」 「はい。」 私は稟議書を、小口現金とその他に分けた。 「小口現金、結構ありますね。」 「支店の数も、そこそこあるからね。」 そうだ。真田コーポレーションと言えば、各地域の都市部には必ずある会社。 そこからの稟議書となると、半端ない数だ。 しかも前社長が倒れて、今の社長が継ぐ昨日まで、決済書が降りていなかったんだから、大変な事になっている。 「社長、小口現金捺印しました。」 「ありがとう。」 その間に、他の稟議書を見ていたのか、社長の顔付きが変わった。 「名古屋支店のこれ、どう思う?」 「えっ?」 社長から稟議書を渡され、内容を読んだけれど、はっきり言って分からない。 けれど、決済額は50万。 決して、はい捺印と言えない額だ。 「社長、今の時点では私もまだ、稟議書の事がよく分かりません。他の人を呼んできましょう。」 「そうだな。」 私は、社長室を出ると、一番近くの人に聞いてみた。
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