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 美しい月の裏側については天文学者に譲るとして、私の専門である進化生物学について話しを進めよう。  月にロケットを飛ばすこの現代においても、北A大陸の南部には、非科学的な宗教原理主義を信じる少数(必ずしも少数とは言えないかもしれない)の人々がいる。彼らは、神話を真実であると、神が(彼らにとって神は概念ではなく実在するのだ!)さまざまな生物を同時に創造したと信じて疑わない。だが、全ての生物は細胞内に核とミトコンドリアを有し、それぞれにDNAを持つ。つまり、それは原初のアメーバのような単細胞生物から、現在の我々に至るまで、気の遠くなるような時間をかけて複雑に分岐し、進化したことを意味している。  興味深いことに、世界中の多くの宗教には「生命の樹」という概念があり、これはまさに生物の進化を宗教的に解釈したものであると言えるだろう。
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