ただ、あなたが好き。それだけ。

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……………………おれには、すきなひとがいる。 『大丈夫?』 助けてくれた、その人の名前は知らない。 だけど。 たまたま入ったスーパー。 見かけた彼女は、俺を助けてくれたあの時と違っていた。 「………………」 困った表情。 あぁ。 次は、俺が助ける番だ。 彼女は、俺に気づかなかった。 それでも良かった。 だけど………。 『あっれー?ユウくんじゃーん。随分変わったなぁ?』 気づかなかったぜ、と笑う男。 『……………なんですか?』 俺は知っている。 この人が、彼女をイジメていること。 『あのさぁー、俺暇なのよ。遊ぼうぜ?』 『図書室で大声出さないでください』 あの時の俺とは違う。 『それに……。先輩、あの人のことイジメてるんですよね?やめてください』 『ああー?何だよ、お前。アイツにされた恩返しのつもりか?まぁ、そんなことしても、アイツへの対応は変わらないぜ?』 ゲラゲラ笑う。 開き直りか、それとも。 『……………帰ってください。邪魔です』 邪魔ねえ……、まぁいいや 『何かムカついたから、明日は逆波に仕掛けてやろ』 逆波………さん………、 それが彼女の名前なら。 『………………』 『ハッ。ダンマリかよ。相変わらず情けねぇなぁ』 分かっている。 俺があの時、もっと強かったら。 彼女を悩ますことはなかったのに。 『………な、何ですか。あなた達!ほかの人の迷惑になるからやめてください』 司書さんがやってきて、注意したからか。 先輩達は帰って行った。 『大丈夫?潮崎くん』 『ええ。ありがとうございます』 あぁ、そういえば……… 俺あの時にお礼言えてないや。 馬鹿だなぁ 情けないって言われても、文句言えないな。
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