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彼女のことが気になって、結局あんまり眠れなかった。
「大丈夫だよな………?」
学校全体が、アイツに逆らえないなんて。
間違っている。
だけど、俺にはどうしようもできない。
彼女………逆波さんを助けることも。
「はぁ……」
自分の置かれている環境を憎んでも仕方ない。
「行ってきます」
学校は今日もある。
行くしかない。
「はーい。行ってらっしゃい!」
明るく送り出される。
うん、そうだよな。
悩んでも仕方ないか。
「おい、逆波」
「……………」
「無視してんじゃねぇよ!」
「きゃ!」
登校中、早道をしようとして通りがかった路地裏。
彼女がいた。
「お前さぁ、ムカつくんだよ」
「やだ、痛い…!」
髪の毛を引っ張られて泣いている。
「おい、いい加減にしろよ!!」
「あ?なーんだ。ユウくんじゃーん」
ヘラヘラ笑う、その顔に憎悪が湧く。
「ユウくんもあそぶ?コイツに言うこと聞かせるためにチョイとね」
「てめえ!!!」
殴ってしまった。
ヤツが怯む。
本当は弱い、ただのガキじゃん。
なんで、こんなヤツを怖がってたんだ。
「いってぇ……てめえ、ブチ殺すぞアァ!?」
「はっ。そうやって、言うこと聞かせようなんてガキですね」
「んだとコラ」
「や、やめて……やめてください」
彼女の声に、我にかえる。
「大丈夫ですか?」
俺がヤツを殴った時に、反動で地面に倒れたらしい。
「すみません、俺のせいで」
「い、いえ。ありがとうございます」
「イチャこいてんじゃねえぞ!!!!ぼけがぁ!」
「こらー!何してる!!!」
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